このページでは、直列システムと並列システムの意味とそれぞれの稼働率の計算方法について解説していきます。
・直列システム:全ての装置が稼働している場合のみ、システムが稼働
\(稼働率=A_1×A_2×・・・×A_N\)
・並列システム:ひとつの装置が稼働していれば、システムが稼働
\(稼働率=1-(1-A_1)×(1-A_2)×・・・×(1-A_N)\)
※\(A_N=装置_N\)の\(稼働率\)
直列システムとは?
直列システムとは、複数の装置から構成されるシステムの1つで、装置が一直線で接続される形態です。
直列システムでは、全ての装置が稼働している場合のみ、システムが稼働できます。
理由は、全ての装置が一直線(直列)で接続されているので、1つの装置の故障により、システムの分断となるためです。
直列システムの稼働率の計算方法(計算式)
\(装置_1、装置_2、・・・装置_N\)の稼働率が\(A_1、A_2、・・・A_N\)の場合、この直列システムの稼働率は、次の式で計算できます。
\(=A_1×A_2×・・・×A_N\)
実際に具体例で計算をしてみましょう。
\(装置_1と装置_2\)の稼働率が\(A_1=0.8、A_2=0.7\)の場合の直列システムの稼働率を求めよ。
直列システムの稼働率
\(=A_1×A_2\)
\(=0.8×0.7\)
\(=0.56\)
したがって、直列システムの稼働率は、「0.56」になります。
装置2台の稼働率は「0.8」と「0.7」でしたが、並列システムの稼働率は「0.56」となり、装置単体よりも低い稼働率になっています。
この理由は、直列システムでは、全ての装置が稼働している場合のみ、システムが稼働できるためです。
並列システムとは?
並列システムは、複数の装置から構成されるシステムの1つで、構成する装置が分岐して接続される形態です。
並列システムは、ひとつの装置が稼働していれば、システムが稼働できます。
なぜなら、装置が故障した場合でも、稼働している装置で迂回すれば、稼働を継続できるためです。
並列システムの稼働率の計算方法(計算式)
\(装置_1、装置_2、・・・装置_N\)の稼働率が\(A_1、A_2、・・・A_N\)の場合、この並列システムの稼働率は、次の式で計算できます。
\(=1-(1-A_1)×(1-A_2)×・・・×(1-A_N)\)
例題で確認をしていきましょう。
\(装置_1と装置_2\)の稼働率が\(A_1=0.8、A_2=0.7\)の場合の並列システムの稼働率を求めよ。
並列システムの稼働率
\(=1-(1-A_1)×(1-A_2)\)
\(=1-(1-0.8)×(1-0.7)\)
\(=1-0.2×0.3\)
\(=1-0.06\)
\(=0.94\)
したがって、直列システムの稼働率は、「0.94」になります。
ここで、装置2台の稼働率は「0.8」と「0.7」でしたが、並列システムの稼働率は「0.94」となり、装置単体よりも高い稼働率になっています。
この理由は、並列システムは、ひとつの装置が稼働していれば、システムが稼働できるためです。
[補足]並列システムの稼働率の計算式について
並列システムの稼働率は次のように計算できました。
この計算式について補足説明をします。
まず、\(A_N\)は\(装置_N\)の稼働率なので、\(1-A_N\)は\(装置_N\)の故障率になります。
\(装置_N\)の故障率=\(1-装置N\)の稼働率
よって、\((1-A_1)×(1-A_2)×・・・×(1-A_N)\)は、N台の全装置が故障する割合です。
ここで、並列システムは、装置が1台でも稼働すれば、システム全体が稼働できます。言い換えると、全ての装置が故障する場合のみ、システム全体の故障となります。
つまり、全ての装置が故障する割合である\((1-A_1)×(1-A_2)×・・・×(1-A_N)\)は、並列システムの故障率と同じ意味です。
したがって、並列システムの稼働率は次のように計算することができます。
\(=1-\)並列システムの故障率
\(=1-(1-A_1)×(1-A_2)×・・・×(1-A_N)\)
【まとめ】直列システム/並列システムの稼働率
それでは、最後におさらいをしておきましょう。
用語 | 説明 |
---|---|
直列システム | 複数の装置が一直線で接続される形態 全ての装置が稼働している場合のみ、システムが稼働 \(稼働率=A_1×A_2×・・・×A_N\) ※\(A_N:装置_N\)の稼働率 |
並列システム | 複数の装置が分岐して接続される形態 ひとつの装置が稼働していれば、システムが稼働 \(稼働率=1-(1-A_1)×(1-A_2)×・・・×(1-A_N)\) |
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