システムの信頼性とは、システムが故障することなく機能する度合いのことです。このページでは、この信頼性の設計として、次の用語を解説します。
・フォールトアボイダンス:故障を限りなくゼロに近づける設計
・フォールトトレラント:故障しても、全ての機能を維持できる設計
・フェールソフト:故障した際に、必要最小限の機能を維持する設計
・フェールセーフ:故障した際に、システムを安全な状態にする設計
・フールプルーフ:人間が操作を誤っても、システムの安全性と信頼性を保持する設計
フォールトとフェール
「フォールト」と「フェール」と頭につく、信頼性の設計には、次のようなものがあります。
・フォールトアボイダンス:故障を限りなくゼロに近づける設計
・フォールトトレラント:故障しても、全ての機能を維持できる設計
・フェールソフト:故障した際に、必要最小限の機能を維持する設計
・フェールセーフ:故障した際に、システムを安全な状態にする設計
いずれもシステムの信頼性を向上させるための設計ですが、「フォールト」と「フェール」には、意味合いの違いがあります。
・フォールト:故障(影響)を起こさないようにする設計
・フェール:故障する前提(故障した後)の設計
この2つの違いを念頭に用語を確認していきましょう。
フォールトアボイダンス
アボイダンス(avoidance)は、「回避」の意味です。フォールトアボイダンスとは、システムの故障を限りなくゼロに近づけていく設計思想になります。
例えば、なるべく故障するような部品を使わないことで、システム自体の故障を防ぎます。
フォールトトレラント
トレラント(tolerant)とは、「耐性のある」という意味になります。フォールトトレラントは、故障しても全ての機能を維持できるようしておく設計です。
例えば、「43-02.デュアル/デュプレックスシステム」「43-08.RAID(RAID 0/1/5)」で解説した、次のようなシステム構成がフォールトトレラントに該当します。
・デュアルシステム:2台のコンピュータで同じ処理
・デュプレックスシステム:2台のコンピュータが現用系と予備系に分かれ、故障時は予備系に引き継ぐ
-コールドスタンバイ:デュプレックスシステムの予備系が起動状態
-ホットスタンバイ:デュプレックスシステムの予備系が電源OFF状態
・RAID1(ミラーリング):2台以上のHDDで同じデータを書きこむ
・RAID5(パリティ付きストライピング):3台以上のHDDで誤り訂正用の情報(パリティ情報)を付与
フェールソフト
フェールソフトは、システムが故障しても、必要最小限の機能を維持する設計です。
例としては、飛行機で片方のエンジンが故障しても、安全に着陸するためにある程度の飛行継続できることが挙げられます。
フェールセーフ
セーフ(safe)とは、「安全」という意味で、フェールセーフは、システムの故障時、システムをより安全な状態にする設計思想です。
例えば、踏切の故障時は、遮断機が下りた状態となるため、通行者が誤って踏切内に侵入することを防ぎ安全を保っています。
フールプルーフ
フールプルーフは、人間が操作を誤ってもシステムの安全性と信頼性を保持する設計思想です。
身近な例では、ウェブサイトサービスに会員情報を登録した際、そ内容に不備がある場合エラーメッセージを返すこともフールプルーフの一種です。
【まとめ】フォールト/フェール/フールプルーフ
それでは、最後におさらいをしておきましょう。
用語 | 説明 |
---|---|
フォールトアボイダンス [fault avoidance] | システムの故障を限りなくゼロに近づける設計 ※avoidance:回避 |
フォールトトレラント [fault tolerant] | 故障しても、全ての機能を維持できるようにしておく設計 ※tolerant:耐性のある |
フェールソフト [fail-soft] | 故障した際に、必要最小限の機能を維持する設計 |
フェールセーフ [fail-safe] | 故障した際に、システムを安全な状態にする設計 |
フールプルーフ [foolproof] | 人間が操作を誤っても、システムの安全性と信頼性を保持する設計 |
コメント