このページでは、システムの信頼性を表す指標として、次の4つの用語と計算方法について解説します。
・稼働率:総運用時間における稼働時間の割合
・故障率:総運用時間における故障時間の割合
・MTBF(平均故障間隔):稼働時間の平均値
・MTTR(平均修復時間):故障時間の平均値
稼働率と故障率とは?
システムの信頼性を表す基本的な指標として、『稼働率』と『故障率』があります。
稼働率は、システムの総運用時間における稼働時間の占める割合です。反対に、故障率は総運用時間における故障時間の割合です。
・稼働率:総運用時間における稼働時間の割合
・故障率:総運用時間における故障時間の割合
したがって、稼働率と故障率は次の式で表すことができます。
\(稼働率={総稼働時間 \above 1pt 総運用時間} \)
\(故障率={総故障時間 \above 1pt 総運用時間} \)
稼働率と故障率を例題を使って、計算してみましょう。
\(稼働率\)
\(={総稼働時間\above 1pt 総運用時間} \)
\(={100+60+80 \above 1pt 300}\)
\(={240 \above 1pt 300}\)
\(=0.8\)
\(故障率\)
\(={総故障時間 \above 1pt 総運用時間 }\)
\(={20+10+30 \above 1pt 300}\)
\(={60 \above 1pt 300}\)
\(=0.2\)
したがって、稼働率は「0.8」、故障率は「0.2」となります。
MTBF(Mean Time Between Failures)とは?
MTBFとは、Mean Time Between Failuresの略称で、日本語では「平均故障間隔」と呼びます。
MTBFは、システムが稼働してから故障するまで(故障と故障の間隔)の平均時間です。つまり、稼働時間の平均値と等しくなります。
システムが稼働してから故障するまでの平均時間
=稼働時間の平均値
したがって、MTBFは次式で表すことができます。
MTBF
=稼働時間の平均時間
\(={総稼働時間 \above 1pt 稼働回数}\)
具体例でMTBFを計算していきましょう。
\(MTBF\)
\(={総稼働時間 \above 1pt 稼働回数}\)
\(={100+60+80 \above 1pt 3}\)
\(={240 \above 1pt 3}\)
\(=80\)
したがって、MTBFは「80」となります。
MTTR(Mean Time To Repair)とは?
MTTRとは、Mean Time To Repairの略称で、日本語では「平均修復時間」と呼びます。
MTTRは、システムが故障してから復旧までの時間(修復時間)の平均です。つまり、単純に考えると故障時間の平均値になります。
システムが故障してから復旧するまでの平均時間
=故障時間の平均値
したがって、MTTRは次の式で表すことができます。
MTTR
=故障時間の平均時間
\(={総故障時間 \above 1pt 故障回数}\)
先ほどと同様に、MTTRを具体例で計算してみましょう。
\(MTTR\)
\(={総故障時間 \above 1pt 故障回数}\)
\(={20+10+30 \above 1pt 3}\)
\(={60 \above 1pt 3}\)
\(=20\)
したがって、MTTRは「20」となります。
稼働率/故障率とMTBF/MTTRの関係
繰返しになりますが、稼働率/故障率とMTBF(平均故障間隔)/MTTR(平均修復時間)は、次の意味です。
・稼働率:総運用時間における稼働時間の割合
・故障率:総運用時間における故障時間の割合
・MTBF(平均故障間隔):稼働時間の平均値
・MTTR(平均修復時間):故障時間の平均値
ここで、稼働率と故障率は、MTBFとMTTRを用いて、計算することができます。
\(稼働率\)
\(={MTBF \above 1pt MTBF+MTTR}\)
\(={総稼働時間 \above 1pt 総運用時間}\)
\(故障率\)
\(={MTTR \above 1pt MTBF+MTTR}\)
\(={総故障時間 \above 1pt 総運用時間}\)
稼働率の計算式では、分子がMTBFとなり、故障率の計算では分子がMTTRになる点を抑えておきましょう。
それでは、実際に計算をしてみます。
\(稼働率\)
\(={MTBF \above 1pt MTBF+MTTR}\)
\(={80 \above 1pt 80+20}\)
\(={80 \above 1pt 100}\)
\(=0.8\)
\(故障率\)
\(={MTTR \above 1pt MTBF+MTTR}\)
\(={20 \above1pt 80+20}\)
\(={20 \above1pt100} \)
\(=0.2\)
したがって、システムの稼働率は「0.8」、故障率は「0.2」となります。
また、この稼働率と故障率は、[例題1]で求めた値と一致しています。
【まとめ】稼働率/故障率とMTBF/MTTR
それでは最後におさらいをしておきましょう!
用語 | 計算式 | 説明 |
---|---|---|
稼働率 | \(総稼働時間 \above 1pt 総運用時間\) \(={MTBF \above 1pt MTBF+MTTR}\) | システム運用の総時間における稼働時間の割合 |
故障率 | \(総故障時間 \above 1pt 総運用時間\) \(={MTTR \above 1pt MTBF+MTTR}\) | システム運用の総時間における故障時間の割合 |
MTBF | \(総稼働時間 \above 1pt 稼働回数\) | システムが稼働してから、故障するまでの平均時間 =稼働時間の平均値 |
MTTR | \(総故障時間 \above 1pt 故障回数\) | 故障してから、復旧(稼働)までの平均時間 =故障時間の平均値 |
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